タバコの煙がゆっくり空に上がっていくのをボッーとしながら、みつめる。
「宏太、晴子ちゃんの控室に行くわよ」
後ろからお袋に呼ばれ、立ち上がった。
「きっと晴子ちゃん、キレイよ」
「・・・そうだな」
胸が熱くなる。
コンコン
「はい」
ドアをノックすると、可愛らしい高い声が聞こえた。
ガチャ
「わぁ-・・・晴子ちゃんキレイよ。ねぇ、宏太」
前にいるお袋のせいで見えねーよ。
「ありがとうございます」
声しか聞こえない。
「ほら、宏太もなにか言いなさいよ!」
そう言ってお袋が振り向いた瞬間、目の前の景色が変わった。
「ツッ・・・」
ビックリして声が出なかった。
「宏太、どうかな?」
いとこの晴子・・・ハルがウェディングドレスの端を持って笑顔で俺を見る。
「・・・馬子にも衣装だな」
「ヒドっ」
嘘だよ。
すっげーキレイ。
キレイすぎて、
惚れ直したよ・・・。