「それだけじゃないよ。あたしだって自分が大人になったなんて思えてないよ。
でも、圭の幸せを願えるようになれた・・・これって成長でしょ?
自分も大人になれたな・・・って思えたの」
ハルは俺から見ても大人になった。
じゃあ俺は?
「俺、帰るわ」
このままじゃいけない。
「え?いきなり?」
「ごめん。用事思い出した」
ハルと会う日は、用事を入れないようにしていた。
だから、本当は用事なんてない。
「・・・分かった。またね」
「おう」
この場から早く立ち去りたかった。
だから、俺は嘘をついてハルから逃げた。
「・・・ハァ」
だんだん遠くに行くハルが怖くなった。
だんだんハルが大人になって俺から離れていくのが怖くなった。
「・・・俺はガキか」
それから俺はハルに誘われても断って2人で会うことを避けた。
でも、久しぶりにハルと会ったとき、俺は何度も後悔することになった。