自分の声にビックリして、固まっていた私と、義美君が、同時に叫ぶ。

「いやだぁあああ~!」
「ぃやったぁああ~!」


頭を抱える私と、私を抱き締める義美君。


「え?嫌って?え?」いつもの意地悪な得意顔が、急に不安そうな顔になる。


私の事、好きって本当なんだ。


捨てられた子犬みたいな悲しい目をして私を見る義美君に、
意地悪できるとしたら、鬼や悪魔の化身に違いない。


「あ、ほら、世界で一番幸せにしてくれないと、嫌だって意味で…。」
もっといい言い訳が考えられない自分が嫌だ…。


「当たり前でしょ!俺、両思いって初めてなんだよ!絶対幸せにする!」


確かに、聡子もいつも言い寄られて付き合ってるからなぁ…
「よく考えたら、自分から人を好きになった事がないかも」って
言ってたし、美男美女って、本当は大変なんだなぁ…。


ぼんやり考えていたら、義美君にお姫様抱っこされていてビックリした。
「私、お父さん以外の男の人に抱っこされるの、初めてかも…」
「じゃあ、これから会う度に絶対してあげる!」


それから、いろいろあったんだけど、義美君は
この約束を、本当に守ってくれたし、悟お兄ちゃんの言う通り
義美君は悟お兄ちゃんの数倍(?)優しい人だった。