「…振り向かせようと努力したのはいいケド。
また殴られたってコトはやってるコト変わってナイってコトでしょ?」



郁はため息を吐きつつ。

“また”を強調して言った。



……郁のヤツめ……。

島崎先生の言葉。

しっかり聞いてたんだ……。



斜め上にある郁の顔を睨むと。

郁は唇の右端だけを持ち上げて。

言葉を続けた。



「…女は“泣かせる”んじゃなくて“鳴かせる”んだよ、先生」



グイッ。

郁が私の腰を抱いた。



……ッ?!



郁の触れてる部分が一瞬にして熱を持つ。



言葉だけで意味がわかってしまった私もヤバいケド。

…高校生が言う言葉じゃないッ!!



「行くぞ、茜」

郁は私の腰を抱いたまま歩きだした。