「…今日だけ特別ね」





「わ―い!」



私はピョンッと跳ねて
差し出された陵の手を掴む



「なんか今日陵
優しい―?」



「なんで疑問形…」



陵が不満そうに
そう言った時
またドアが開く



「あ…



瀬川君」


瀬川君はいつのまに現れた
知らない人に




驚いた顔をしている



「あ、どうも」



しばらくの沈黙の後
瀬川君が礼儀ただしく
お辞儀をする



陵も綺麗にお辞儀をしてから


いつもの執事の口調で
挨拶を始める



「初めまして

私は美姫様の執事を
勤めさせて頂いている



倉崎陵と申します




瀬川さまでいらっしゃいますか




よく美姫様から
お話しうかがっています



お会いできて光栄です」



言い終わると私と手を
繋いでいない方の手を
すっとだして




瀬川君にも負けない
爽やかな笑顔を見せる