しばらくすると

カタンとドアの開く音がする



「瀬川くん


ありが…」




「誰が瀬川だ」




あまりの驚きと


嬉しさに



後ろを振り向いたまま
私は絶句する




「なんで?」


私の聞きたかった声が


私の会いたかった人が












…目の前にいる



「お迎えに上がりました





…お姫様」


「お姫様…?」



「だってそのかっこ
お姫様みたいなんだもん…」



陵が子供みたいに言い訳する




「…じゃあ陵は王子様?」


陵はいつもみたいな
格好じゃなくて


やたらときっちりしたスーツを
来ている




「…いや


俺は姫に忠実な家来」



「ふ―ん」




やっぱそこは変わらないんだ


ちょっと残念



「じゃあ美姫の
王子様は誰ですか―?」



ちょっと意地悪に
聞いてみる


「とりあえず瀬川で消してはない


それとあまりにも
家来が過保護なために



姫は王子と付き合う
なんて許されてません」



「はぁ?


意味わかんない」



「とにかく


王子様はいないから」


…なにそれ



自分は王子になってくれないくせに

王子とは付き合わせないとか



「超自分勝手!!!!」


「はいはい


俺は自分勝手ですよ―」



そう言うといつもみたいに

私の頭をポンポンとなでる



「陵

手繋ぎたい」




「は?」


「お願い


姫からの命令」