「……真央。
お帰りなさい」


手に物を持ったまま息を切らし、俺に微笑む女。

『……穂乃香。
部屋戻ってろ』


「…グスッ……うん」


穂乃香が上に上がっていったのを確認した俺は、女に向き直る。

「真央、お父さんがね。
また他の女と浮気してるのよ」

フフッと笑ったコイツは狂っている。


『親父はそんな事してねーよ』

俺は散らかった部屋を片付けながら返事をした。


「お母さん見たのよ。
お父さんが女とタクシーに乗っているところを」

何でそれだけで浮気になるんだ。

『仕事関係だろ』