その夜。

大陸を照らすのは月の周期からしたらあり得ない満月であった。

それも太陽の様に輝く不気味な満月である。

『始まりを告げる新月、そして終わりを告げる満月。ああ、シルク『聖霊の宴』が終りますね』

「……そうだね」

シルクの言葉の歯切れの悪さにミカエルは首をかしげた。

『全ての王が決する時浮かぶ満月は四大陸の核を照らし、眠りの大陸がこの世に姿を現す』

満月を見ながら語るミカエル。

シルクはそんなミカエルの横顔を見つめている。

「ねぇミカエル……?」

『何ですかシルク?』

シルクは俯く。

ミカエルは笑った。

『シルク、フレアに言われた言葉をもう忘れてしまったのですか?』

はっ、として顔をあげたシルク。

見上げるとミカエルはいつも通りの優しい笑顔でシルクを見ていた。

「聖霊の宴は終わったのかもしれない。でも僕はソフィアが大陸王になるのは納得がいかないんだ」

シルクの言葉にミカエルは哀しげに笑った。

『私は彼のことはよく分からないですが……』

「ミカエルだって心配じゃないの?あのルシフェルが聖霊になるんだよ?」