―辰馬―


ったく…ガキが変に気遣いやがって…。



優と唯香は俺を見ていた。


「…唯香。お前は変に強がる癖があるな。何でも俺に言えばいいものを…お前はいつも誰も見てない所で泣いてたな。ちゃんと俺は知ってるんだぞ?」


笑って唯香の頭を撫でた。


「何…?どうしたのいきなり…。」


唯香は不安な顔で俺を見つめた。


「いいか?涙を見せなくてもいい。人に弱さを見せてみろ。きっと誰かが支えてくれる。

俺がお前を支えたように。きっと違う誰かも同じように支えてくれるはずだ。

男より強くなりたいからって変な所まで男勝りになるな。心は女らしくあれ。大丈夫だ。お前だって幸せになっていいんだ。強くなる為に1人になろうとなんかするな!強くなりたいなら認めた人と支え合え。それが本当の強さって奴だ。

お前ならいつかわかる。絶対にな!」


唯香は涙を流して俺に抱きついた。


「お父さん…!もう最後みたいじゃん…!」


俺は唯香の頭を優しく撫でた。



「優。お前には寂しい思いをさせたな。俺が居ない間辛かっただろ?ごめんな…。今まで甘えさせてやることもできずに…。

大きくなったな。もう立派な面構えしてやがる!これから荒西からいっぱい何かを学べ。そうすればお前はもっと強くなれる!保証してやるよ。

裏扇杜最強の…お前の『親父』がな!」


優は泣きながら俺に抱きついた。


「ずっと…!ずっと言いたかった…!お父さんって…!でも…迷惑かなって思って…ずっと言えなかった…!…お父さん…!」


優の言葉を聞いて俺の目から涙が溢れた。


「バカ野郎…!迷惑な訳…あるかよ…!お前は最高の…俺の自慢の息子だよ…!お前らは俺の…最高の子供だ…!」


そう言って2人を抱きしめた。


ずっと遠いと思ってた。
ずっと届かないと思ってた。


でも…あっさり届く距離にあったんだな…。


幸せ者だよ…俺は…。


ありがとうな荒西…。


優…唯香…頑張れよ…。


俺は………



ずっと…