野島は僕の死角に入って執拗に攻撃をしてくる。


それでも僕は攻撃を難なく避けていった。


「万策尽きたかな?そろそろ終わっちゃうよ?」


野島は離れてまたナイフで斬りかかってくる。



5…4…3…


「くらえ!!」


野島のナイフの先端が飛んできた。


2…1…


人差し指と中指でナイフの刃を挟んで止めた。


「0…。残念だったね。あんたの死が確定した。」


ナイフを地面に落として踏みつけ、僕は野島に向かって手をかざす。



「死ぬ前に1つだけ言っておく。僕は平気で人を殺せるし…多分恨みを持ってる人は少なくないと思う。でも…こんな僕にも許せないことがあるんだ。

まず1つ…普通に生活している弱い者に平気で手をかけること。

2つ…大した強さでもないくせに自分の力を過信して喧嘩を売ってくること。

3つ…僕の大切な者に悲しい思いや辛い思いをさせたこと。

薫は僕の大切な人だ。それを1人ぼっちにして悲しい思いをさせたお前は万死に値する。」


野島は僕から何かを感じたのか逃げようとする。


「消え失せろ…。死神の黒柩(しにがみのくろひつぎ)。序章…プロローグ…。」


野島の目の前に漆黒の柩が現れ、柩が開くとマントを纏い、大きな鎌を持った骸骨が無数に姿を現した。


「い…!嫌だ…!嫌だ…死にたくない…!」


進行方向を変え、こっちに向かって走ってくる。


だが野島の願望も虚しく、死神が野島を捕らえて柩の中に引きずり込む。


「嫌だ…!まだ…まだだ…!まだ暴れ足りないんだ…!まだ満足してない…ん…」


バタンッ…!


柩が大きな音を立てて閉まる。


「最終章…フィナーレ!」



『ぎぃやぁぁぁぁぁ~~~!!!!!』


肉を切り裂く音が柩内から聞こえ、断末魔の叫びが静かな森を支配した。


「欲望は満たされることがないから大罪ということを知れ。来世に会うまでにその意味を理解するのがあんたの宿題だ。」


黒柩の隙間から大量の血が流れていた。