しばらく走って進んでいると、黒いマントを羽織った長い銀髪で金の瞳をしたカッコいい男が月を見上げていた。
「こんな所で何やってるんや?」
「今宵は美しい満月だ。邪魔をする雲も無く…星達が月の美しさを強調している。」
俺が聞いたが、こっちを見ることもなく言った。
確かに変やな…。
でもこういうことじゃないよな…。
「あぁ…お楽しみな所悪いんやけど…ここ通らなあかんから邪魔するつもりないなら通ってもえぇか?」
「悲しいことに君はここを通れない。城島 優の命令により…君をここで殺さないといけないんだ。」
城島 優?!
優が何で俺を殺すんや…。
考えている間に男が長く鋭い爪で斬りかかってきていた。
ハッと気付いて腕を掴んで止めた。
「…優はそんな奴やない…。まぁえぇわ。真意はあんたに聞くよりも…直接優に聞いた方が早いわ。だからそこどけや!」
男の顔面を殴り飛ばした。
「ちゃっちゃと仕事終わらせて扇杜まで行かないけんくなったわ。来るなら早く来いや。」
手に雷を纏い、男に向かって飛ばした。
男は避けて俺に殴りかかってくる。
拳を受け止め、殴りかかった。
男も拳を受け止めた。
すると男は俺の体を引き寄せ、俺の首筋に噛み付いた。
「あ痛っ!」
血…吸われとる…?!!
引き離そうとするが男はなかなか離れない。
このままやったらさすがにヤバいわ…。
膝で腹を蹴って怯ませ、引き離した。
「痛いわ~…。お前何やねん!」
男の手に雷が出てきて、それを俺に向かって飛ばしてきた。
俺は避けて男を見た。
こいつ…雷の契約者なんか…?
「私はハーヴィス・クオリア。吸血鬼一族の末裔だ。お前の能力を血を吸って奪ったんだ。」
吸血鬼…?!
やから玲央奈が気持ち悪いって言うてたのか…。
それよりも…俺の能力を奪ったって…。
質悪いわ…。