「楓~!終わったよ~!」


玲央奈の声が聞こえ、俺は玲央奈の居る方に向かった。



「ようやったな。玲央奈。」


そう言うと玲央奈は俺に抱き付いた。


「お前ら…グルだったのか…?!」


俺達を見て男が言った。


「あの状況で1ミリも疑わん方がおかしいやろ?お前バカか?」


そう言うと男が玲央奈を見た。


「この女!!騙しやがって!!」


男の言葉を聞いて、玲央奈はクスクス笑って胸を剥がして男に投げた。


「僕男だよ。騙される方が悪いの♪わかるかな?バ~カ!」


玲央奈は男に向かって舌を出して言った。


「さて…さっさと連れて行って金もらおうかい。玲央奈、そいつ頼むで?」


「は~い♪」








玲央奈の着替えに付き合い、俺達は森を通ってヤクザの事務所に向かう。


「しかしあんたもバカやな~。組の金持ち出してとんずらかまそうなんて今時考えるもんやないで?」


暇潰しに男に話しかけた。


「うるせぇ!お前に何か関係あるんか!」


「関係ないけど…組長カンカンやったで~。連れて来た瞬間殺すって言うてたくらいやからな~。」


男の顔は段々青冷めていく。



「まぁ俺達には関係ないか!なぁ、玲央奈!」


玲央奈はジッと進行方向を見つめて何も喋らない。


「どうしたんや?」


俺が聞くと歩みを止めた。


「この先に気味悪い気配を感じる。人じゃないし…契約者でもない…。かといって動物でもないし……とにかく気持ち悪い…。あんたの味方?」


玲央奈が男を見て言った。


「知らねぇよそんな奴!」


誰や…。
玲央奈が気持ち悪いって言うくらいやから結構強い奴か。



「わかった…。俺が先に行って敵か確かめてくるわ。玲央奈は俺が帰ってくるまで絶対動いたらあかんで?」


「うん。ヤバそうだったら助けに行くから頑張って。」



俺は走って先に進んだ。