―その日の夜 楓―
バチバチィッ!!
「ひっ…!何なんだよお前…!」
今回の仕事のターゲットになっている男が逃げ回る。
「こらぁ!何逃げとんねんボケェ!!さっさと捕まれや!!」
男に向かって雷を放った。
だがフラフラ走っているのでなかなか当たらない。
あぁ…イライラするのぉ…。
男の進行方向に雷を放った。
「逃げれる思うなよ?」
男は俺を見て計算した方向に逃げていく。
ったく…あとは頼むで?玲央奈…。
雷を空に放った。
―玲央奈―
この格好恥ずかしいな~…。
白いドレスに特別に作った胸をつけ、バッチリ化粧して髪を巻いていた。
これ…重いからつけたくないのに…。
胸を掴んで思っていた。
バチィッ!
そろそろか。
空に上がる雷を見て準備を始めた。
物陰からこそっと通りを覗いてみる。
きたきた!
「お兄さん!こっちです!早く~!」
僕が手招きすると、素直にこっちに来た。
……ちょっとも怪しいと思わないのかな…?
「はぁ…助かった…!お前は誰だ?」
男の人が僕に聞く。
「私、玲央奈といいます。近くの店で働いてます♪」
楓に言われた通り、髪を掻き上げて胸を強調した。
目線がすぐ動くのがわかった。
「あの雷の人…私のことも追ってるんです…」
「お前も?!何で…?」
男の人は僕を見て驚いていた。
「あの人がこの前ここで…私の知り合いを殺してるの見ちゃって…私も始末しようとしてるんです…」
嘘泣きをして男の人に胸をくっつけるように抱きついた。
「お願い!私と一緒に…逃げてください…!私を守って…!」
そう言うと男の人は頷いた。
「じゃあ…誓いのキスして?」
そう言うとデレデレした顔を近付ける。
唇に指を置いて止めた。
「ダメ…。眼帯…取って?」
男の人は眼帯を取る。
「幻魔眼。」
左目を開いて黒い蛇を巻き付けた。