斬撃を鎌で受けていく。


「どうした?防戦一方だな!」


剣を下から斬り上げ、俺の腕が広がった。


「くらいな!」


剣を持ち直し、俺に斬りかかる。


わざと地面に倒れて腕の鎌で受けた。


足下を蹴って辰馬を転かし、馬乗りになって腹に手を置いた。


「ブラックインパクト!」


衝撃波が辰馬の体に流れた。


「結構やるね~!最近の若者はすごいな!」


辰馬は俺の顔面を掴み、そのまま地面に叩きつけた。


「ガハッ…!」


全く効いてない…?


首の骨を鳴らして俺を見る。


「まだ立てるだろ?」


俺は立ち上がって肩を回した。



ガチャッ…。


ドアが開き、初めて会った時と同じ純白のコートに身を包んだ優が立っていた。


「おっ!もう終わったか?」


辰馬は優を見て言った。


優は頷いて、辰馬の方に向かって歩き始めた。


「優!!お前どういうつもりだ!!そいつは三浦 愛や理恵を手にかけた奴かもしれないんだぞ?何でお前がそっちに行くんだよ!!」


俺が言うと、優はこっちを見た。


「気付いたんだよ薫。2人は綺麗な世界を作る為の犠牲に過ぎないって。俺は俺の目的の為に辰馬さんと居るよ。」


静かに優が言った。


「お前…!」


動こうとするが、体が動かなかった。


「影縛り。お前はその場から動けんよ。」


辰馬が俺に手をかざして、自分の影と俺の影を繋げていた。


「犠牲だと…?そんな犠牲があるか!!弱い者が犠牲になるような世界がお前の理想の世界なのか?!お前の望む綺麗な世界なのか?!言ってみろ…お前の本当の気持ちを!!」



優は俺に近付いて、俺の顔面を殴った。


「これが本当の気持ち。薫と一緒に居るの疲れたんだよ。次会ったら…容赦なく殺す。でも次は無いか…。辰馬さんが殺しちゃうから。

ゴミは消えなよ。
もう薫とは一緒に居れない。さよなら…薫。」


そう言って優は歩いていく。