―薫―


一通り探してみたが、優も辰馬も見つからなかった。



優はどこに行ったんだろ…。


裏扇杜内なら見つかってもおかしくないんだが…。



そんなことを思いながらアジトに戻っていた。




アジトに着くと、アジトの前に男が座っていた。


あれは……。



「意外に早いお帰りだな~。荒西。」


「お前…五十嵐 辰馬…。」


アジトの前には辰馬が座っていた。


「もうちょっと待て。今優が支度してるからな。」


優が…支度…?


「お前…優に何しやがった?優だけじゃない…理恵にも三浦 愛にもだ。」


俺が言うと、辰馬は笑った。


「それをお前に言う義務はない!何も知らなくていいんだよ。」


俺は悪魔の腕に鎌を生やして殴りかかった。


辰馬は避けて俺の顔面を蹴ろうとする。


足に飛び乗って、辰馬の顔面を蹴った。


着地した瞬間に辰馬が殴りかかってくる。


拳を受け止め、殴りかかった。


辰馬も拳を受け止めた。



「さすが裏扇杜最強と呼ばれるだけあるな~!反応もセンスもばっちりだ!」


「ふざけたこと言ってんじゃねぇよ。質問に答えろ!」


腹を蹴って距離を取り、手を合わせて地面につけた。


「デスニードル!」


針の山が辰馬に襲いかかる。


辰馬は背負っている剣を取り、デスニードルを斬った。


デスニードルが斬れた…?!


辰馬が剣に巻いている包帯を取っていくと、刀身から鍔も柄も全てが漆黒で覆われている剣が姿を現した。


何だ…あの剣…?


「気になるか?こいつは『魔剣 シエル』。この世に存在するあらゆる物を斬ることができる剣だ。ただし…手にした者を死に誘うと言われているがな。」



魔剣 シエル…。


不思議な剣だ……。


あれを使って戦うのか…?


辰馬は斬りかかってきた。