避けきれずに刃が頬をかすった。
更に体勢を整え、体を突こうとする。
扇子で刃を弾いて、薙刀を蹴りあげた。
薙刀は空中に舞う。
「終わりね。」
「まだまだ…。ラブフェロモン♪」
突然唯香がとても美しく見え、扇子を降ろした。
何…この感覚…?
こんなに美しい人見たことないわ…。
パシッ!ザンッ!!
唯香は薙刀をキャッチし、私の体を斬った。
なっ…?!
正気に戻って、私は斬り傷を抑えた。
「あんた…何をしたの…?」
私が言うと唇を指でなぞって妖しく微笑む。
「残念ね涼風姉さん。会わない間に私も契約者になったの♪私が契約してるのは悪魔族『アロム』。フェロモンを扱う悪魔よ。あんたが今嗅いだのはラブフェロモン。私が美しく見え、私の虜になるフェロモンよ♪」
厄介だわ…。
只でさえかなりの薙刀使いなのに…攻撃を防いでもあのフェロモンの能力か…。
「焦ってるわね~♪あの勝ち誇った余裕の顔はどこに行ったのかな?」
嫌味っぽく私に言う唯香。
「焦ってなんかないわ。ただ…やらしい顔にお似合いの能力使ってるなって思っただけよ!!」
仕込みナイフを唯香に向かって投げた。
「その強がりがどこまで続くかな?」
ナイフを避けて簡単に懐に入ってくる。
「戦い方くらいわかってるわ。あんたと一時期組んでたんだからね!」
唯香は私に斬りかかる。
扇子で受けて、顎を蹴り上げた。
「私もわかってるわよ!鎌鼬!」
扇子を仰いで風の刃を出した。
唯香は風の刃に斬られながら、私の体を斬った。
「くっ…!」
「お遊びはもう終わりよ。キリングフェロモン。」
唯香から今まで感じたことのない殺気が出てきた。
何…この殺気…。
動いたら殺される…。
グサッ…!
薙刀が私の腹を突き刺した。
「さよなら涼風姉さん。地獄でおやすみ。」
薙刀が抜かれ、唯香は去っていく。
私は力なく倒れた。