―涼風―


私は私服に着替えて始末屋に向かおうとしていた。



さっきのニュース…理恵って子が刺されたって言ってたわね。


優君も薫も…多分落ち込んでるから行ってあげないとね。



着替え終わり、部屋の鍵を閉めてエレベーターで下の階まで降りていった。



ん…?


マンションから外に出ると、悪魔の気配を感じた。



こんな時に一体誰かしら…。






裏扇杜に着き、後ろを振り返った。


「ここならやれるわよ!こそこそしてないで出てきなさい!」


そう言うと、物陰から知った顔が出てきた。


「あんた……唯香?!」


私が言うと、薙刀を入れている袋から薙刀を出し、私の方に向かってくる。


扇子を出し、仕込みナイフを投げる。


唯香はナイフを見切って薙刀で叩き落とし、薙刀を振りかぶる。


扇子で受け、後ろに下がった。


「久しぶりの挨拶にしては随分物騒ね。一体どういうつもりかしら?」


唯香は薙刀を回して私に突き付ける。


「あんたを殺しに来たの。優君の命令でね!」


唯香の口から信じられない言葉が出てきた。


優君の命令…?


唯香は斬りかかってくる。


考えてる暇はない…!


私は避けて仕込みナイフを出して斬りかかった。


唯香は薙刀で受け、私の顔面に蹴りかかる。


しゃがんで避け、風を出して吹き飛ばした。


「どういう目的か知らないけど…あんたみたいな一般人に私が負ける訳ないでしょ?さっさと言ってもらうわよ…優君の命令って言葉の意味を…。」


そう言うと唯香は起き上がって笑った。


「はぁ?バカじゃないの涼風姉さん!随分見ない間に言葉の意味もわからなくなったの?優君の命令って言葉はそのままの意味よ!」



私に斬りかかる唯香。


「風波!!」


扇子を仰いで突風を吹かせた。


唯香は薙刀を地面に刺し、それに掴まって風を防いだ。


「鎌鼬!!」


風の刃が唯香を襲う。


だが範囲外に逃げて私に近付いて斬りかかる。