―情報屋 米―
米に頼み、情報を集めてもらっていた。
ったく優の奴……一体どこに行きやがったんだ…。
感情任せに突っ込んだって何も上手くいかないのに…。
タバコをくわえて火をつけ、貧乏揺すりをしていた。
「イライラしてるね~薫。」
米婆が奥から戻り、座布団に座る。
「うるせぇ。あったのか?理恵を刺した奴の情報と愛って奴を誘拐した奴の情報は。」
「あんたも無茶言うね~…。そんな今しがたの出来事があるわけないじゃないかい。」
呆れた顔をして米婆が言った。
「まぁでもね…おもしろい情報はあったよ。」
そう言って書類を差し出した。
誰だこれ…。
「その男は裏扇杜最強の男として今も語り継がれる男。『魔神』五十嵐 辰馬。」
裏扇杜最強の男…『魔神』五十嵐 辰馬…?
「それで?今回の事件とこの魔神が何の関係があるんだ?」
俺がそう言うと、米婆は話を続けた。
「その男は裏扇杜から8年前に姿を消した。もうとっくに死んだものと思っていたが…昨日その姿がまた目撃されたんだそうだよ。」
何の話してんだか…。
とうとうボケたのか?
「驚くことにその男…優の育ての親なんだよ。」
優の育ての親?!
俺は書類に目を通した。
「例えばの話なんだがね…その男がもし優に接触していて何らかの話を持ち掛けたとすると…もちろん優は薫が居るからと断った。その腹いせか…もしくは脅しかのどちらかで起こった事件じゃないのかい?」
そういえば昨日……優の様子がおかしかった……。
それに今日…あいつは会いにいくと言った……。
もし昨日この辰馬って奴に会ったとして…様子がおかしかったなら…
全ての辻褄が合う…!
「こいつ今どこに居る?!」
「そこまではまだわかってないよ。何せ昨日の話だからね…最低でも明日じゃないと無理だね。」
闇雲に探すしかないか…。
俺は立ち上がって外に出た。