―その10分前 辰馬―
三浦財閥の家ってのは大きいな~…。
俺は三浦財閥の家の前で張っていた。
さて…そろそろ出てくるはずだが…。
家の前に車が止まり、そこからボディーガードに囲まれた三浦 愛が家から出てきた。
よし…やるか。
「タイムストップ。」
タバコをその場に捨てて、指を鳴らした。
三浦 愛以外の時間を止め、俺は三浦 愛に近付いた。
「こんにちはお嬢様。悪いけど…ちょっと誘拐されてくれ。」
俺がそう言うと、三浦 愛は怯えた表情を浮かべて逃げようとする。
「無駄だ。この辺一帯の時間は全て止めてある。俺の悪魔『トリア』の能力でね。」
「あ…悪魔…?」
「契約者って奴だ。あんたなら知ってるだろ?優もそうなんだから!」
優の名前を出すと驚いていた。
「優を知っているんですか…?だから私を誘拐して…優を殺すつもりじゃ…」
その言葉を聞いて笑ってしまった。
「俺はそんなことしねぇよ!ただあんたを使って優と会いたいだけだ!だから頼むよ!あんたを殺すつもりもないし…優を殺すつもりもない。何だったら優に会わせてやってもいい!乱暴なことなんて何もしないから俺とついて来てくれないか?」
三浦 愛はわからないような顔をする。
「あなた…本当に悪い人なんですか…?そこまで来てほしいなら何で無理矢理つれて行かないんです?」
この状況で意外に鋭い見方するね~。
さすが三浦財閥の娘さんだ。
「オジサン無理矢理女の子つれ回すの好きじゃないんだよ~。だからこうやって頼んでんの!」
「……わかりました……。本当に優にも私にも危害を加えないのであれば…ついて行きます。」
信じてくれたのかな?
「加えないって!オジサン優の育て親なんだから!」
「えっ?!」
三浦 愛はさっきより驚いた顔をした。
「一応だけどカバンその辺に捨てといて。発信器ついてるから。」
俺に言われた通りにカバンを捨てた。
「さて…じゃあ行こうかね!」