由莉恵はトンファーを回して、長い方をこっちに向ける。
「この程度ですか?わざわざ遠くまで行って雇ったのに…鳴海様も無駄な努力をしたものです。
でも…私達も仕事ですから。あまり遊んでられないんです。」
ポケットから小瓶を2つ出し、トンファーの持ち手を開けて中に入れた。
何だ?
俺は由莉恵に向かって構える。
「本気を出さないと死にますよ?私…できれば人を殺したくないので忠告しときます。」
右手に持っているトンファーは赤く燃え上がり、左手に持っているトンファーは稲妻が纏ってある。
何だよあれ…。
あんな武器が出回ってんのか…?
由莉恵はこっちに向かってくる。
「魂喰らいの鎌!」
手を上げて叫ぶも何も出てこない。
俺は炎を纏ったトンファーを何とか腕の鎌で受け止めた。
「まだまだ!!」
雷を纏ったトンファーで殴りかかる。
しゃがんで避けて、顔面に殴りかかった。
後ろにのけぞって避け、トンファーを回し、逆手に持って俺に向ける。
「炎雷焦土(えんらいしょうど)。」
炎と雷が俺に向かって発射された。
「ぐぁぁっ!!」
俺はもろにくらってしまい、膝をついた。
あの武器…一体何だ…。
契約者の力なのか…?
「さよなら。」
トンファーを回して俺に殴りかかる。
俺は後ろに下がって避けた。
技が思うように出てくれれば…こんな奴…。
―『何やってんだ?手こずるのは分かるが…そこまでやられるか?』―
アビルがバカにしたように囁く。
うるせぇ…。
お前もちゃんとやってんのかよ。
―『やってるさ。何も変わってないが?弱くなったのかお前。正直…がっかりだ。』―
ちっ…。
本当に俺が弱くなってんのかよ。
「何をボーっとしている!!」
由莉恵が向かってくる。
うるせぇ奴…。
トンファーを避け、由莉恵の顔面を掴んで地面に叩きつけた。