不意にふわりと抱き締められる。

「キャッ」

「ゴメン美那香。今日記念日だもんな」

気付かなかった。

気付かない程の関係なの?

「気付かなかったんだ。最低」

いらない一言まで言ってしまうから、事態を大きくいつも変えてしまう。

「最低だよな。でも俺っ」

急に達也が前へ踏み出す。

「美那香がスキ。別れたくない」

「美那香ね…すごく悲しかった。ホント悲しかった」

また涙が滲む。

人前で泣きたくないのに。