自分の身に危険が迫っているとも知らずに美由紀はうとうとと眠っている。

 ガサガサ…ゴソゴソ………

 野犬達は部屋中をあさくり回している。

 そして、野犬がテーブルクロスに食いつき引っ張ったのと同時に、上に有った物が烈しい音を出して床へ散らばった。

 ガシャガシャガシャーーーン

 美由紀は、その烈しい音で跳び起き、慎重に下へ様子を窺いに行く。

 ギシッギシッギシッ…………

 傷んだ床は歩を進める度ギシリと音を立てる。

 そして、調度階段前に差し掛かった時に野犬が階段下に居るのが見えた。

 (ヤバイ……)

 美由紀が心の中でそう呟き後ずさった瞬間……。

 ギシギシッ……

 床のきしむ音が……。