調べた結果、他には問題はなさそうだったので、良平はクローゼットの中に隠れて暫く仮眠を取る事にした。

 寝て居られる様な状況ではないが、眠たくてしかた無かったのだ。

 その頃、塩川美由紀も別の屋敷で仮眠をとっていた。

 美由紀は街に野犬が来ているとも知らずに無防備にうとうとと眠り込んでいる。

 そんな美由紀の隠れている屋敷に野犬は、忍び込もうとしていた。

 僅かに開いた窓の隙間に前足を押し込み徐々に開いて行く。

 ギッギギッギィーーーッ……

 ガサガサ……ドサッ………

 そして、遂に窓は開け放たれ野犬が屋敷の中へ入った。

 野犬は、屋敷の一階を歩き回っている。

 二階の寝室でうとうとと眠る美由紀はまだその事に気付いていない。