「なぁなぁ、大塚愛のさくらんぼ歌えるようになったで!」

まだ小学5年の私が自信満々に友達に言った。

「まじで!?歌ってーや!」

そう言われた私は、ためらいなく歌った。

〜♪

「・・・ぷっ。それはないわー!」

そう言って笑う友達に私は驚いた。

自分の中では何も間違ってなかったから。

ずっと笑ってる友達の隣で私も笑った。

本当は笑いたくなんかなかった。



それから少しずつ気づいた。

自分が音痴だと言うことに・・・



歌いたくなかった。

歌うことは好きだったけど・・・

人前で歌いたくないから、カラオケの誘いも殆ど断った。

音楽はあまり好きじゃなかった。

音符とかわからないし、楽譜なんて読める訳ない。

エレキ、アコギ、ベースは私から見たら、全部ただのギターだった。

私は音楽から掛け離れた人間だった。

「バンド」なんて言葉は頭のどこにもなかった。