家の前までつくと
やっと男の顔が見えた




「……イケメン」




イケメンとかそういうのに
疎い私でもわかるほどのイケメン


…まぁ賢悟には劣るけど…



「クスッ、それじゃーね」


「あ、あの!ありがとうございました!」


「またねー優月ちゃん」



軽く手を振り着た道を戻っていった人





「いい人、だったなぁ」


抱きしめられたのは考えないものとして
助けてくれたり送ってくれたり、


そのまま家に入ろうとしたとき
ふと思った




「私あの人に名前教えてない」



記憶を探っても名前を教えてないし
今日以前に会ったことはないはず



「…おっかしいな。でもま、いっか」



気になりはしたものの
もう会うことはないだろう









だが私があの男を最低だと思うのは
もうすぐ後のこと……