「それ、俺の前で言ってほしーんですけどね」
「あ、賢悟」
肩からスポーツバックを下げて
いつの間にか後ろに立ってた賢悟
「…聞いてた?」
「もうバッチリ。俺も大好きだよー」
「ば、馬鹿っ!声かけてよ!」
「優月が好きって言ってくれることなんて
滅多にないんだからきいとかなきゃと思ってね」
「バカ賢悟」
「知ってる」
私は立って賢悟の目をまっすぐ見た
「…たまにしか言わないけど
ちゃんと大好きって思ってるから」
「…~っ」
恥ずかしくて下向いてたけど
気持ち…伝わったよね?
ゆっくりと繋がれた手を強く握り返して
私たちは歩き出した