内野コーチは私のお願いを聞き入れ、練習に付き合ってくれた。


「じゃあ、俺が味方でスクリーンにいくふりするから、お前は俺の体にぶつかるように走れ。いいな!」


「はい」


「じゃあ、いくぞ!」


内野コーチはスクリーンの体勢をとった。

私は内野コーチの横ギリギリを通ってダッシュをする。


「待て、宮瀬!そんなんじゃダメだ!もっとぶつかるくらい近くだ」


私の後ろから内野コーチの言葉が飛んでくる。


「はい!」


私は振り向き、ダッシュで元いた位置まで戻る。


「もう一度、いくぞ」



そして二回目。

内野コーチのドッシリ構えた肩と私の肩がカツッとぶつかる。

倒れそうになるのを堪えて、グッと踏ん張りダッシュをする。


「そうだ!それだ!」


内野コーチが私の腰をグッと押す。

いつもより速く走れる。



体がグングン伸びていく。