練習が始まった。

軽いランニングから始まり、念入りな柔軟、各自のペースで走る十分走、フットワーク……。


「女子も、男子と同じメニューをこなすんだね?」


私は隣で笛を吹きながら合図を出していた、マネージャーの唐田さんに質問した。


「そうだよ。女子の強さの秘訣は、そこにもあるからね」


「へえ……」


私は友梨のフットワークをジッと見つめた。

友梨は汗をポタポタと体育館の床に落としながら、サイドキックをしている。

友梨の足にはスラリとついた綺麗な筋肉がついている。

その筋肉が踏ん張ることで、ムキっと足から飛び出していて、普段見ることのない友梨の足の力強さに、一瞬ドキっとしてしまう。


こうして、友梨がバスケットをしている姿を見るのは初めてだった。


いつも下ろしている長い髪の毛は、ピッチリ一本に結わえてあって、別人みたいだった。