「どうしたの?ココちゃん。そっちは体育館だよお。おうち帰ろう?」


「愛都。ごめん・・・先に帰ってて」


「え?どうしてえ?」


愛都は私の言葉に不思議そうに頭をひねった。


「黒さんのところに寄って、内野コーチのプレーのDVD借りていこうと思って」


そう。

私は無性にあの時のビデオが見たかったのだ。


「内野コーチ・・・の?」


愛都が不機嫌になっていくのが分かる。


「あ、あのね愛都。私、今日の試合納得してないんだ。なんていうか・・・みんなには褒められたけど物足りないっていうか・・・だから内野コーチのプレーを見て、何が自分に足りないのかハッキリ見極めたいんだ」


「そう・・・・・・」


愛都は寂しそうに俯くと、私にクルリと背中を向けた。