「宮瀬さん、入部してから1ヶ月近く経つけど、メキメキ上達したね。お疲れ様」


「ありがとう」


「うん、確かに!心空の足が陸上だけじゃなくて、バスケでまで光るなんて。やっぱり私、見る目あったな」


友梨がスクイズボトルから、スポーツドリンクを吸い取るように飲み込む。


友梨だけじゃなく、他のみんなも、同じように私を褒める。




だけど、なんだろう・・・この物足りなさは。




柔軟を終え、帰り支度を終えて、あとは帰るだけ。

なのに・・・



私は自然と体育館へ向かって、フラフラと歩いていた。


「ココちゃん?帰ろう?」


その時、腕をクイっと捕まれ引っ張られた。

愛都だった。