「ふう・・・さてと」


黒さんはテレビの横のソファーに座り、一枚のDVDをセットし始めた。


「宮瀬、中学校の頃は短距離選手だったんだってな?友梨から聞いたぞ」


「はい」


「俺はな、練習中お前のダッシュをする姿に見惚れたぞ。下手すりゃ男子よりも速いじゃないか」


「あ、その・・・ありがとうございます」


見惚れたなんて大げさだなと思いつつも、顔がにやけてしまう。


「しかも、体力もある・・・俺が目指している機動力のあるチームにはもってこいの、存在だ」


黒さんが優しく微笑みながらDVDの再生のボタンを押した。