「目先だけの練習を見て、選手を判断したらダメだ。だれでも苦手なところはあるだろう。光るところを伸ばさなきゃコーチは失格だ。お前はそれを痛いほど分かっているだろう?」


黒さんは内野コーチをキッと睨み付けた。

内野コーチは黒さんをジッと見つめ、何かに耐えるように、両手をギュっと握りしめた。


「なあ、宮瀬」


「はい」


黒さんに名前を呼ばれ、内野コーチに向けていた視線を黒さんに戻す。


「お前がコートの中で輝けるプレーを教えてやるぞ。ちょっとこい」


「・・・・・・はい!」


私は立ち上がり歩き出す黒さんの後ろを追いかけた。



黒さんは私をステージの2階にある、体育教官室へと導いた。


「まあ、ここに座れ」


「はい」


私は黒さんに言われるまま、テレビの前に座った。