そうこうしているうちに、瑞穂は友梨からパスを貰った。

そして、ゴールに向かって走り込んだ友梨にパスを出し、友梨がシュートを決めた。




自由にコートの中を走る二人。

私はそんな二人をただ見つめることしか出来ない。


「言ったろ?まだ早いって」


内野コーチが私に近づき、言葉をかけた。

私は内野コーチを見上げた。


「試合の基本はパス・アンド・ランだ。パスをしたら次の攻撃をするために走りこまなきゃいけない。だけどお前は、それが出来ないんだ。お前は経験者のディフェンスを振り切る技術がないんだよ」


「・・・・・・」


言い返せなかった。





だって、それは私も感じていたから。



私は、友梨や瑞穂のように、コート内を自由に走ることが出来ない。


「・・・・・・これで分かったろ?小塚先生!」


内野コーチが黒さんの元へ駆け寄っていく。

私もその後ろを追いかけ、黒さんの元へと向かった。