ボールを拾い振り向くと、今度は内野コーチが私を見て優しく微笑んでいた。


「な、なんですか・・・・・・」


「その・・・・・・」


内野コーチは目を泳がせながら、言おうか言うまいか悩んでいるようだった。


「言いたいことがあるなら、言って下さい」


内野コーチはその言葉を聞いて、意を決めたようにズンズンと私に近寄ってくる。


「な、なによっ」


私は身構えた。


「お前、駆け引き上手だわ」


「は?駆け引き・・・ですか?」


「そう。一対一って、オフェンスとディフェンスの駆け引きなんだ」


「は、はあ・・・・・・」


そんなこと言われてもよく分からないなあ。