「県大会の決勝戦。トライアルに落ちて、行き場が無くなった時、お前のトリプルスレットする姿見て、俺勇気づけられた。
初心者だったお前が、シュート決めて泣きじゃくる姿見て、俺もまだまだやれるって思ったんだ」
やっぱり、内野コーチはあの時、あの場所にいたんだ……。
「あのトリプルスレットは…内野コーチがいたから出来たんです」
私がそう答えた時、風が吹いて、私の首元を何かがかすめた。
「あ…梅の花」
内野コーチが私の首元に落ちた梅の花をつまみ、呟いた。
「……心空、一対一しようか」
「はい!私、絶対勝ちます!」
「ばあか。お前は俺に一生勝てねえよ」
内野コーチが私を見て鼻で笑った。