「お前のパス。昔と比べてキレがあるな。相当社会人チームで頑張ったろ?」
突然の内野コーチの労いの言葉に、今までずっと堪えてきたものが溢れだした。
「内野コーチと…またもう一回一対一しようって約束したから…だから私頑張れたんです」
「……笑ってバスケ出来てるか?」
「はいっ……!」
私は大きく頷いた。
内野コーチは私が一番聞きたかった言葉を、私に投げかけた。
私達は離れていても同じことを思っていたんだ……。
「そっか。俺もだ」
内野コーチは、大きな手で包み込むように私の頭を撫でた。
そして包み込んだ私の頭を、そっと自分の胸に引き寄せた。