「良かった…内野コーチがバスケ出来る場所見つかって……」
「内野も同じようなこと言ってたな」
「え?」
「トライアルの合格が決まった日に内野がここに来てな。心空の話をしたら、同じこと言っていたぞ」
「同じこと?」
「そうだ。お前がバスケ出来るところが見つかって良かった…って」
内野コーチに逢いたい。
黒さんの言葉を聞いた瞬間、私の胸がキュウっと音を立てて縮んだ気がした。
外のバスケットゴールの前に立ち、目を瞑る。
今でも思い出せる。
内野コーチとここで過ごした日々を。
「今、内野コーチは笑っていますか?」
目を開けて、手に持っていたボールをジッと見つめた。
ボールの上にポタリ、ポタリと涙が落ちる。
「逢いたい…内野コーチに逢いたい」