「心空…お前どうしてここに?久しぶりだな」
私に気づいた黒さんが、立ち上がり私に近づいて、手をギュッと握った。
「お久しぶりです。今日は地元の小学校でバスケット教室だったので、足を延ばして来たんです」
「そうか。少し話をしないか?」
黒さんはニッコリ笑って、人差し指を上に向けた。
「はい」
私と黒さんはステージの上にある、体育教官室へと続く階段を上った。
「変わってませんね。ここ」
コーヒーの香りがほんのりとする体育教官室。
教卓にソファー。
何も変わっていない。
ただ一つだけ変わっているのは、黒さんの机の上に飾られている、歴代のバスケ部の部員達の写真が増えていることだ。