一年…私は不慣れな社会人チームで懸命に練習をした。
社会人チームは、高校のバスケとは違って、パスも鋭くて、初めはキャッチが出来ないほどだった。
それでも…悔しくても悔しくてもバスケを続けられたのは、内野コーチとの約束があったからだと思う。
地元の小学校へのバスケット教室を終えた私は、久しぶりに土根高校の体育館へ向かった。
内野コーチが車を止めていた場所に車を止め、降りると、ボールをつく音と、生徒達の元気な声が聞こえてきた。
窓から体育館の中を覗くと、みんな必死になってフットワークをしていた。
私は体育館の裏口から、そっと中に入り、ステージから生徒達を見守る黒さんの元へゆっくりと近づいた。