「内野コーチ。次のトライアルには合格できるといいねえ」
愛都がにこっと笑って、私に笑いかけた。
愛都の笑顔につられて、私もにっこりと笑った。
「うん。内野コーチ、きっと楽しんでバスケしてると思うから。だから私も負けないように、バスケ、続けるんだ」
「うん、私も頑張る。私も大学卒業したら、心空とまた一緒にバスケ出来るように、大学で頑張るから」
友梨はスカートのポケットからゴムを取り出すと、長い髪を後ろに一本に束ねた。
「よし!卒業記念!高校最後の一対一やろう!」
「うん!やろお!」
愛都も腕まくりをしてやる気満々。
そんな二人を見て、私はまたこの土根バスケ部に出会えて良かったと思った。
ここは、私がバスケットに…内野コーチに初めて逢った場所だから。
だから…さよならは言わない。
「またね……」