シュートの後、バランスを崩して、その場に崩れるように倒れこんだ。
ピーッ
審判の笛が会場に鳴り響く。
テンテンテン……
ネットをくぐったボールが、「おめでとう」って言ってるみたいに、私の横に静かにコロコロと転がってきた。
「勝った…勝ったんだ…っぅ…うわあ!」
私は転がってきたボールをギュッと抱きしめて泣いた。
「心空!!」
「ココちゃん!!」
たくさんの仲間が私の名前を呼んで駆け寄った。
だけど、もう、あの人の…内野コーチの声は聞こえなかった。
内野コーチ…泣いちゃってゴメン。
泣いてる私を見たら、内野コーチは、『バスケは楽しむもんだ!泣くな!』っていうかな。
だけど、内野コーチ許して。
これは、勝って…全力を出し切った自分へのご褒美の涙だから。
だから今だけ…今だけ思いっきり泣かせて。