私はダッシュと同時に、腰の力で相手のディフェンスを反対方向に押して振り切った。

相手の5番は、私の押しに、一瞬バランスを崩す。



マイマイのチップしたボールが、友梨の胸元はストンと落ちる。

友梨と私の目と目があう。



「友梨!」



「心空!」



友梨は迷わず、私にショルダーパスを投げる。



「大丈夫!前すぎる!キャッチできない」



相手チームのそんな声が聞こえたけど、私は分かっている。


絶対そんなことはない。


このボールには追いつける!



グン、グン、グン!



私の足は前へ前へとスライドしていく。


追いつくって気持ちが大事。


私はグッと床に力を入れて、最後の一歩を思いっきり前へ飛んだ。


右手を前へ伸ばす。


そう。


この完全に体が伸びた状態でバランスを崩さずにキャッチできること。


このギリギリのボールが、私の足の速さと手足の長さを生かすことが出来るんだ。