「内野コーチのため。内野コーチは私にバスケを続けて欲しいと言っていた。一つでも多く勝って、勝って・・・私、ずっとバスケを続けたい」



「そうか」



そう言って黒さんは私の頭を撫でて笑った。



「私、内野コーチのように自由にコートを走れるでしょうか?」



「宮瀬ならやれるさ。努力は絶対に裏切らない。言っただろ?自分を信じて、仲間を信じろ」



「はい」



私の手はゴツゴツした力強い黒さんの両手にガッチリと包まれた。



「明日、勝とう」



「・・・・・・はいっ!」



そうして、土根高校バスケ部夏の大会が始まった。