内野コーチが去って行った時は梅の花が散っていた。
あれからもうすぐ一か月。
今度は桜の花びらがチラチラ舞っていた。
土根バスケ部は一年生が入部し、賑やかになった。
だけど・・・私の心はどこか晴れなかった。
周りは変わっているのに・・・私は変われてる?
「ココちゃあん」
外のコートでシュート練習をしていると、体育館の窓から愛都が顔を出した。
その隣から友梨も顔を出した。
「今日は午後練休みだしさ、ちょっと足伸ばしていつもとは違うところで練習しない?」
「違うところ?」
「うん!ストリートバスケ出来るところあるから、そこに行こうよお」
愛都がニヒっと笑って私を誘った。
「大学生や社会人もいてさ、結構レベル高いんだよお。腕試しに行ってみない?」
「え!?すごく楽しそう!行きたい!」
「やっぱり。心空ならそう言うと思ったんだ」
友梨と愛都は顔を見合わせて嬉しそうに笑った。