「泣くなよ!」


私が泣いているのが分かったのか、内野コーチは振り向いた。


「泣いてないっ!」


私は涙をグイっと拭った。


「私、バスケずっと続けます。だから、また一対一して下さい。待ってますから」


「いつになるか分かんねえぞ」


「・・・・・・はい。分かってます」


内野コーチが困ったように笑って、小さく頷いた。


「じゃあな、心空」


内野コーチが私の頭を優しくなでて、去っていく。




梅の花がチラチラと舞う中、みんなに送られて、内野コーチの車が土根高校の校門から出て行った。