「まあ、欲を言うと攻めていく場合は、もっとトリを低く構えた方がいいな。膝をこうグッと曲げて前傾姿勢で。そうすると一歩がもっと早く出せるぞ」


内野コーチがそう言いながら、私の横にタタっと駆けてきて、トリの姿勢の見本を見せてくれた。


その様子をボーっと眺めていた私に、内野コーチがふいっと顔を上げて優しく微笑んだ。


「心空・・・最後にさ・・・俺と一対一してくんない?」


「最・・・後に?」


「うん」


内野コーチが立ち上がり、私が持っていたボールをポンポンと叩いた。


「いいよ。私と愛都は中で練習してるからさ」


「う、うん!そうだよ・・・ココちゃん、ファイトぉ!」


そう言って友梨と愛都は体育館の中に入っていった。