内野コーチの車が私の家の前に到着した。


「ありがとうございました」


「おう。じゃあ、明日からまた頑張ろうな」


「はい」


私は内野コーチにニッコリと笑みを向けた。


「心空は、そうして笑ってた方がいいよ」


「え?」


「今日、楽しそうに心空がバスケしてるの見てそう思った」


「内野コーチ・・・・・・」


私に見つめられた内野コーチは、照れくさそうに頭をポリポリと掻いた。


「今年の夏は・・・みんなと一緒に笑えるといいな」


「はい・・・内野コーチも、私と一緒に笑いましょうね」


「・・・・・・うん・・・・・・」







大切なものを改めて実感することになった冬。


私の人生の中で一番暖かい、冬―――。




今思えばこの時から・・・・・・。




内野コーチは一人で悩んでいたんだ。