内野コーチは、あの時の私と同じように、ただ黙って頷いた。


「あの、内野コーチ。今日は・・・ありがとうございました」


「うん・・・お前の口から、楽しくないって言われたときはどうしようかと思ったけど・・・恩返しできたみたいで良かった」


「・・・黒さんはなんでも分かってますね」


「だな」


内野コーチは何かを思い出したように、フッと笑った。


「なんだか・・・俺ももう一回バスケしたくなってきたな」


「え?」


私は内野コーチの言葉に驚いて、目をパチパチとさせながら、内野コーチを見た。


「・・・・・・」


内野コーチは何も答えないまま、ただ笑っていた。