みんなが休憩している中、内野コーチは軽くストレッチをしていた。

ただ、みんなのストレッチと違うところは、バスケットボールを手に持ちながらストレッチをしているということ。


内野コーチが手に持つバスケットボールは、まるで内野コーチの体の一部のように離れることはなかった。


指先でクルクル回したり、体の回りを回したり。


「なんだか、バスケットボールが手にくっついてるみたい」


「内野コーチ、色んなところが大きいから…悔しいっ!」


私がボソリと呟いた言葉に、愛都が悔しそうに反応する。


「ふうん……」


いつの間にか内野コーチから目を離せないでいる自分がいた。


内野コーチは優しくバスケットボールを撫でると、軽く屈伸をして立ち上がった。