「ココちゃんはさ、内野コーチのこと好き?」


愛都が振り向き、私をジッと見つめた。


「え?うん」


「・・・・・・うーん・・・・・・」


愛都は眉間にシワを寄せて、『もういいや』とでも言うように、クルリと向きをかえ、また歩き出した。


「俺さあ、内野コーチのこと嫌いなんだ。背でかいし、偉そうだし、バスケ上手いしさっ」


「うん・・・知ってる」


「けど・・・・・・」


「うん」


「あいつ、変わった・・・俺のこと褒めてた。仲間から頼りにされてるって」


「うん・・・・・・」


鼻の頭に当たる粉雪がくすぐったくて、私は手袋をはめた手で、赤くなった鼻を覆った。